孤独な女性と魚人の恋・・シェイプ・オブ・ウォーター 映画などの感想 2018年03月11日 今話題のギレルモ監督の作品、魚人と女性の恋を描いた「シェイプ・オブ・ウォーター」を観ました。 観終わった後、気持ちがもやもやしてしまったので吐き出します。 ネタバレ&褒めていませんので、作品が好きな方は閲覧しない事をおススメします・・。 正直言うと期待しすぎました・・! ファンタジー映画での恋愛は、美女と美男子の恋がほとんどで 誰も焦点をあてないような、異形の者との恋の話という物は私も好きな題材ですし、 特に種族を超えての心の触れ合いだったり、絆の芽生え、恋愛に関してはそれはもう大好物なので・・/// 数々の映画賞の受賞、著名な方の感想、周りの口コミ等、そういうのも相まって、 「これは涙無しでは観られない、感動する作品だ!」と期待値が私の中でかなり高かったのです。 そんな高まる気持ちを抑えつつ、映画を観たのですが まず、始まりが深い水中を思わせるような、ほの暗い青緑にライトの黄色がちらちらとボケて映し出される、廊下、部屋、浮かぶ家具たちの絵はとても幻想的でオープニングから絵の美しさに惹かれました。 シェイプ~の音楽、画面やそれらを構成する色、衣装、背景の古めかしさは私の好きなジャンピエール・ジュネ&マルク監督の作品達にどこか似ていて、懐かしさとあのヴィンテージ感のある絵は凄く好みで、心をくすぐられました。 ジャンピネ&マルク監督の「ロストチルドレン」。もう名作です。 あと個性的なキャラ達があちこちで動き回ってたり、イライザが浴室を水で満たそうとドアの隙間にタオルを詰めたのも「デリカテッセン」のシーンにもあったな~と。たまたま似ていただけかも知れませんが・・! いや、絵は素晴らしかったんですよ。本当に・・ それで内容の話に戻りますが、 映画の宣伝などで知ったあらすじで、この話は「言葉を持たない孤独な女性と魚人の恋の物語」という風に認識していました。 喋れないから他人とは接点を持てれず、ただただ仕事をしてひっそりと孤独で空な日々を送る女性が、 言葉の通じない魚人と出会い、触れ合いを通じて心を通わせ、恋が芽生えてしまう・・しまう!そんなお話だと。 モンスターと人間の恋ですよ?そんなの・・そんなの・・ よっぽどの事が無い限り惹かれあいませんって!! イライザはただただ孤独だった、喋れないし、美人でもないし若くもない、でもそんな中で出会ったモンスター。興味本位で近づいてみる。可愛そうだから食べ物と私の好きな音楽、それらを与えて教えてあげる。モンスターも段々と心を開いていき、モンスター自身も彼女に懐いてくる。二人は仲良くなって、彼女は次第にこう思うのです。 このモンスターは喋れずとも私自身を見てくれる、偏見の目も無しに私を大事にしてくれる存在・・!あの人と触れ合う時が一番楽しい。心が満たされる。 そして何かしら彼女に事件が起こる、そしてそれをモンスターが助ける・・そして彼女がそこで気付くのです。私、この人の事が好き・・なのね・・みたいな・・! とそんな妄想を抱いていました。濃い妄想を・・このくだりと全然違うかもしれないけど、濃厚な心の通い合う話が満載だと・・ そしたら実際は違ったのです。 濃厚な下ネタシーンが満載だったのです。いやそれはさておき、 イライザと魚人が恋に落ちるのはやくない?と思いました。 魚人と出会って、ゆで卵与えて、音楽聞かせて・・それ数回かやっている内にもうできてる感じでした。 もう既にいい感じになってる・・水槽越しに、愛し合う恋人達がするようなポーズまでして・・距離近すぎません・・?って思いました。いつのまに。確かに心通わせるシーンがいくつかありましたよ。 でも、私の抱いた印象ではペットに餌を与えてるぐらいの軽い印象でしかもてなくて・・!私に感受性が無さすぎだと言われたらそうかもしれませんが、もっとこう・・!こう・・!w 何が言いたいのかと言いますと、イライザと魚人が恋に落ちる過程がもう少し欲しかったなと思いました。 そしてですね、あと思ったのが イライザがそんなに孤独では無かった事。 孤独な女性・・と言われたんですよ。 喋れずに友達もおらず、掃除の仕事をたんたんとこなすだけの毎日。そんな日々を過ごす女性と思ってました。孤独ですから。 そしたら、お隣にイライザの理解者でもあるゲイのおじいちゃんに、 映画館を運営している大家さん。(無料のチケットもくれるいい人) そして職場には恰幅のいい、愚痴ばかりだけど明るいゼルダおばちゃん! めっちゃ恵まれてますね・・。イライザのまわりの人はみんなイライザに優しいですし、 手話もイライザの気持ちもわかってくれている。蔑ろにしたりなんてしないのです。 イライザを1人の人間として扱ってくれているのです。 こんないい人達がまわりにいといて孤独だなんて・・!恋人いない=孤独なのか?! 「本当の私を見てくれているのは彼だけ」と魚人の事を言ってましたが ゲイおじいちゃんもイライザの事は理解していると思うんですよね・・。イライザのちょっとした反応で気持ちを汲み取ったりしてましたし・・。まるで誰しもがイライザを虐げている様な事を言って・・。もっと周りの事見てあげて!と。 映画を観ていて、その点がどうも腑に落ちなくて・・ 私は、登場人物に感情を入れ込んでみたいタイプなのですが どうもそれらが気になってしまい、映画にのめり込めずなまま映画は進んでいきました。 そして時折挟み込まれる下ネタ・・映画はR-15なのでエッチなシーンがあるとは聞いてました。聞いてましたけど、激しいな・・とちょっとドン引きで・・。 イライザさんわりとすぐに魚人と結ばれましたね。自ら行ったと言っても過言ではないぐらいでしたが・・ イライザさんの冒頭シーンの事もありますし、割りと性に関しては貪欲なタイプなのですかね・・;; 魚人さんはどう思ってたんでしょうかね。本能でしょうか。 魚人さんについてもですが、魚人さんはイライザの事をどう思っていたんだろう。 魚人さんがイライザさんに対して何かしら大きなアクションは起こしていない気がするんです。 教えてもらった簡単な意思疎通はするぐらいで・・ イライザさんだけには敵意を向けないという訳でも無く、敵意の無い人間に対しては攻撃していませんしね。 なんだろう・・魚人はイライザさんにだけ対してだけ特別どうのこうの思っていないような印象を持ちました。 言うなればペットとその飼い主という印象が・・そしてそのペットに対して欲情する女性という印象を持ちました。 ああ・・もう酷い事を書いていますが、私がこの映画を観て思った、抱いた気持ちです。 本当に期待していたんです。期待しすぎていたばかりに・・。 でも面白いと思いますよ。最後の急展開からラストは素晴らしかったです。 この作品を見て一生の一本になった人もおられると思いますし、偉大な作品だとは思います。 しかし映画を観て人が抱く感想は人それぞれだよなと思わされました。 このモヤモヤする気持ちを書きなぐったのでスッキリしました。 そして・・ 今思うと、一番孤独だったのはゲイのおじいちゃんですね。(´・ω・`) PR